業務日誌

2002/02/24 Sun 〜 2002/02/25 Mon 「帰るだけです」

ニューヨークへの観光客数はテロで一気に落ち込みましたが、それでも半年近く経ってだいぶ回復したようです。テロ以前とくらべれば人出は少ないのでしょうが、基本的に観光地はどこも観光客だらけでにぎわっていました。が、日本人はまだ少ないようです。日本からだとハワイへ行くよりアメリカ本土のほうが飛行機が安いことからも、アメリカ本土の極端な人気低下がうかがえます。街で見かける東洋人はほとんど中国人でした。「日本人は群れて行動するからすぐわかる」なんて言われますが、日本人の群れなんてまったく見られませんでした。

そうそう、「海外へ行くんだから日本人の集まるところなんて行くな」と海外で群れる日本人をバカにする人がよくいますが、そのような批判もいかがなものかと思います。知らない土地を一人で歩いてトラブルに遭う人にくらべれば、日本人のガイドに連れられて安全に旅行を楽しもうと思う人のほうがよっぽどまともな神経をしていると思うのですが。だいたい単なる観光にわざわざ危険や苦行を持ち込まなくてもよいわけで。そういうスリルも含めて楽しみたいという若者は勝手にそうすればよいのです。ただ、自分がそうだからといって、他の観光客を「群れてんじゃねーよ」「しょせんパックツアーでしょ」と批判して悦に入っているような向きには、あまりよい印象は抱けません。

さて、さすがに本国だけあって、ニューヨークにもいたるところにスターバックスがあります。試しに飲んでみたら味は日本と同じでした。でもイスとかにボロいものがあって、こざっぱりした店内という雰囲気ではありません。基本的に私はエスプレッソを好まないのですが(たいてい注文するのは「本日のコーヒー」)、それでもたまにスターバックスに行くのは、まあまあちゃんとした店員の接客レベルと、楽ちんなイスを買っているからです。そのあたりが本家アメリカのスターバックスは日本に比べるとぞんざいな印象を受けます。それでも値段設定が高めなのは同じです。

いよいよニューヨーク滞在最終日です。といっても飛行機の時間が朝10:50なので観光する時間は全くなくて、朝一で空港に向かうだけの日です。行きと同じバスで空港まで行くのもつまらないので、今度は地下鉄を使うことにします。地下鉄といってもここ数日利用してきた地下鉄ではなく、港湾局が運営する「PATH」という名前の鉄道です。マンハッタンの西側にはハドソン川という川が流れていて、その向こう側がニュージャージー州なのですが、PATHはハドソン川の下をくぐってニュージャージー州のニューアークまで続いています。つまりニューヨークとニュージャージーを結ぶパスということですな。ちなみに、終点ニューアークの駅の名前は「ペンステーション」で、ニューヨークにある駅と同じ名前です。アメリカには地名も人名も種類が少ないらしいです。

40分ほどガタガタと揺られてニューアークに到着。ここで、NJトランジットという鉄道会社のバス302系統に乗り換えれば空港に到着です。というはずだったのですが。バス停に行って時刻表を見てみるとNo. 302 Service Suspendedっておいおいおい運休ですか! その下には62系統に乗れと書かれているのですが今日は日曜なのでその路線は1時間に1本しかなく、しかも数分前に行ってしまったばかり。これじゃ間に合わんかもしれん困った困ったと言って困っているところに絶妙のタイミングで警官がやってきたので、空港にはどうやったら行けるのかと尋ねてみたところ「バスか電車」と言います。電車? 電車で空港に行けるなんて『地球の歩き方』に書いてありませんよ。「切符売り場に行って聞け」ということなので、切符売り場の場所を教えてもらってそちらへ回ります。

NJトランジットの窓口でさっきと同じ質問をすると「そこの券売機で切符を買って電車に乗ってください。10分くらいで着きます」とのこと。そう言われて券売機のところへ行ってみると、確かにニューアーク空港という行き先があります。運賃は6ドル65セント。たった10分の行程にしては激高。切符を購入すると、所持金はもう2ドル50セントしか残っていません。切符を持ってホームへ上がります。改札口はなくて、誰でもホームに上がれる構造でした。しばらくしてやってきた列車から車掌が出てきたので空港に行くか聞いてみるとイエスという心強い返事。列車に乗り込みます。

先ほどの車掌氏が検札にやってきます。日本ではほとんどスタンプになってしまいましたが、ここではハサミで穴を空けるやり方でした。10分少々でニューアーク空港駅に到着。ここから無人運転のモノレールに乗って空港ターミナルへ向かいます。あとで知ったのですが、この駅は去年の10月にできたばかりだったのです。どうりでガイドブックに載っていないわけです。運賃が高いのも、モノレールをターミナルからこの駅まで延長するのにかかった費用を回収するための特別料金だったようです。ちなみに、ニューヨークのペンステーションから直接ここまで来ることもできたのですね。

さてさてそんな具合に交通手段を尋ねたり乗り換えに手間取ったりしたので、コンチネンタル航空のカウンターに到着したのは離陸の40分前です。係員が「Oh, it's too late.」を連発しながらもう一人の係に指示して端末をたたかせていたので、ひょっとしてもう乗れないのかと心配になりましたが、ちゃんと予約した席の搭乗券が出てきました。ただ、荷物には「late baggage」の赤札がつけられ、よく読んでみると「お客様と同じ便で荷物が届くという保証はできません」という内容のことが書いてあります。確実な搭乗手続きができるのは1時間前までだそうです。知らんかった。

走って搭乗ゲートまでたどり着くと「搭乗券を拝見いたします」と日本語で話しかけられ、早くも日本に帰ってきたような気分です。行きと同じボーイング777に乗り込みます。気付いたのですが、エコノミークラスでも前のほうの席(17列目から23列目)には電源コンセントがついているのですね。窓側にしてくれなんて言わず電源のある席を予約すべきでした。無念。

ほとんど遅れることなく、ほぼ定刻通りの離陸。眼下に広がるマンハッタンの摩天楼。さようならニューヨーク、えーと、当分来ることはないでしょう。ノートの電池が切れたので、あとは食事のときにビールを3杯くらい飲んで、いい気分になってひたすら寝るのみ。帰りは気流の逆方向に飛ぶので、行きより時間がかかります。

14時間半経過

出発したのは24日ですが、日付変更線を越えたので到着は25日です。普段から時差ボケのような生活をしているので時差は特に気になりません。荷物は無事に同じ飛行機で運ばれてきました。まぁ、服が入ったリュック1個だけだからなくても困りませんが。で、そんなに荷物が少ないために、税関で「これだけですか? 別で送ったものとか、誰かに預けたものとかないですか?」とか聞かれて、手さげ袋に入ってる雑誌もいちいち改められましたよ。スーツケース1個の人はほとんど素通りだったのに。

疲れているので京成スカイライナーで帰ろうかとも思いましたが、サイフを開けると1850円しか入ってなかったので乗れませんでした。ほんとに金のない貧乏旅行でした。5泊6日、飲食や買い物も含めて85000円くらいです。

いろいろな個人サイトにある旅行記を検索して読んでみたのですが、まぁだいたい他人の旅行記というのはそんなに面白いものではないですな。同人誌でも、コミックマーケットの「情報・評論」ジャンルの中で最も多いのは旅行記ですが、まったく読む気しないですしね。が、そうとわかっていてもこうして長々と旅行記を書いてしまったということは、自分にとっては85000円の旅行が決してムダなものではなかったということでしょう。

ただ、何か特別強烈な体験をしたというわけでもないし、「○○へ行ってきたけど、あそこは良かったよ」というような場所も特にないしで、「みんな行きたがるけど、実際問題海外旅行ってどうよ?」という感想がなきにしもあらず。興奮度としては初めて一人で東京へ来たときのほうが大きかったし、幸福度としては電気街で85000円使うときのほうが大きいような気もします。もちろん海外旅行が経験として悪くないものだということは当然なのですが、コスト計算というか損得勘定なしに「時間のある学生時代にぜひ海外へ!」とか「ボーナス3回分貯めて来年の夏は一家で海外旅行だ!」とか、安易に最上級レジャーにしてしまうのはおかしいなと思うようになりました。

なんてネガティブなまとめ方になってしまいましたが、旅行自体はよかったです。以上。

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