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2001/03/09 Fri 晴 寒 「抑圧」


昨夜、入浴中に突然電気が消えました。停電です。何も見えん。しばらく待っても復旧しないので、仕方なく風呂から出てノートを起動。バッテリで動くもので、明かりになるのはこれくらいしかないのです。外がガタガタうるさいので、工事停電なのでしょう。先月の電気料金の請求書か何かに予告があったのかもしれませんが、見ていませんでした。電気がないと風呂の湯も出ないという現代社会の脆弱さを改めて痛感。するほどでもなかったですが。

昼に起きて、学校へ行ってバイト先で借りたビデオを鑑賞。「ぼくのバラ色の人生」というフランス映画で、「大きくなったら女の子になりたい」という7歳の少年が主人公の何とも萌エ萌ェ〜な物語です。転校先の学校で、友達の妹の服を着たり学芸会で無理矢理シンデレラの役になってしまったりお腹が痛くなったら「生理になったよ!」と大喜びしてみたりと周りを困らせ、いじめに遭い、両親はノイローゼ気味になり、精神科医に診せても芳しくない。父親の上司の子供と仲良くなったはいいが、その子に惚れてしまって悶着になって父親はクビになり、母親はストレスでヒステリーになってあわや離婚というとこまできて、あげくの果てには近隣から「あの子をよそへ転校させるべきだ」と学校へ嘆願書が出される始末。

まぁこの映画見る人はほとんどいないでしょうから終わりまで書きますが、結局最後には家族で遠くの田舎町に引っ越します。で、引っ越し先のお隣さんの子が、どう見ても外見は男の子な女の子で、その子が主人公に一目惚れしてしまいます。ホームパーティに呼ばれ、主人公は男の服装で出てきて、その女の子は女の服装で出てきて、しばらくはそのまま遊んでいるのですが、お互いに「その服いいね、とっかえっこしない?」ということになって、主人公は女の服を着て母親のところへ戻ってきます。息子の女装姿を見られたらまた以前のように村八分にされてしまうと思った母親は、激怒して主人公をビンタするのですが、隣人たちは「オーノー、ただ女の子の服を着ただけじゃない、そんな怒ることないでしょ」と逆に母親を叱責。ああ、この地域の人たちは理解があるんですね、よかったよかったメデタシメデタシ。という話なのですが。

えー、全然めでたくないじゃないですか。理解のある人たちが住んでいる地域が見つからなかったら、結局この少年と家族には永遠に幸せな日々はやってこないわけですよね。いや別に性同一性障害がテーマではないので、少年を何とか治療して男か女かハッキリさせてしまえというわけではないのですが(っていうかそれが治療になるのかも知りませんが)、話のまとめが「ハイこれがオチです」と、とってつけたようなものだった気がします。

問題提起としては非常に良い映画だと思うのですけどね。「オカマと同じクラスだと地獄におちるー」(日本だったら「菌がうつるー」とか?)なんて言っていじめられるあたりなんかはいかにも「あるあるー」って感じでリアルでした。子供が、他の子供と何かちょっと違っているだけで、その本人ばかりでなく家族が、地域がギクシャクしていってしまう可能性があるんです、だから、ちょっとくらいヘンでもいいじゃん、それぞれみんなの個性を大切にして、広い心で理解してやりましょうよ。

↑という主張が、非常に分かりやすくリアリティを伴って描かれている、その点では佳作だと思います。でもオチがめでたしめでたしじゃねぇ。むしろバッドエンドのまま終わらせたほうが深刻っぽくていいんじゃないの。あと、前半おかっぱ頭でうわっめっちゃかわいいー! だった主人公の少年が、後半髪を切られて一気にブサイクになってしまったのにはゲンナリでお兄さん萎え萎えでした、っていうかそこまで含めて、話が後へ進むほど抑圧されていく少年の感情を表現していたのでしょうか。

研究室で、プリンタ復旧作業や穴開けパンチ作業といった事務を少しだけ手伝って、夕食を久々に学校近くの定食屋「あら井」で食そうと思ったらやっていなくて、味千ラーメン元浜店で学生セット(ラーメン+ライス 500円)とギョーザ(金曜は100円)を食します。深夜は、ささやかながらバイト先に送別会を開いていただきました。ちょっとだけ飲み会。


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