業務日誌

2007/03/18 Sun 「ネタにマジレスカコイイ」

こんなところに書くとこの日働くと言いながら働いていなかったのがバレるわけですが、会社へ行こうと出かけるも、思わず池袋LIVE INN ROSAへ。いや勘弁してください、これも健康のための防衛本能なのです、まぁ治療ですな一種の。実際ライブハウスに足を運ぶのは実に半年ぶりで、6年前に東京に来てからこんなに間が空いたことは初めてです。別に "NO MUSIC, NO LIFE" とは毛頭思っていないのでライブハウスでなくても、それこそ音楽でなくても、何でもいいのですが、しかしこういう直接的な情報摂取がこの半年ほぼゼロだっという。入力ないところに出力はないわけで

それで本日のイベントは2回ほど来たことのある「電脳マニアックス! 0032」。これに来るのも1年半ぶりですが、もう32回開催とは。残念ながら一般的には色物扱いしかされないというか、(ファンにとっては)常に虐げられてる感の強いテクノポップというジャンルにおいては、2004年1月から現在までひとつのイベントが続いているという事実だけでもすごい。まあテクノポップについてはそもそも客層がピンポイント過ぎるせいで、作り手側がそんなに長くやらないうちにどんどんやめてしまうという構造的な問題があるのかもしれませんが。

pLumsonic!それはそうと、いろいろ見どころはあったのですがとにかく今回はpLumsonic!のステージの高水準さを再確認した一夜でありました。不思議女子が歌うちょっと懐かしくてちょっとエモーショナルなシンセポップ、って言葉だけで説明するとアニソンの安っぽいやつみたいなのと誤解されてしまいそうで怖いのですが、安直でないしっかりした楽曲に支えられていて安心して聴ける。グリーンレーザーを使った演出とか、身につけているLEDのアクセサリーとかも、DIY志向でありながら良い意味で手作り感がなく良くできています。突出した唯一性があるというタイプのユニットではないかもしれませんが、周到に考えられたステージングには「これはここで乗っておかないともったいない」と思わせるものがあり、前回とてもじゃないですがしらふでは反応できなかった結羽さんの「にょきー」なんて実に痛い(←ほめ言葉)あいさつにも自然に手を挙げて応えてしまう。曲の途中でDoctor Y.K.がmini-KPを観客に触らせるために前のほうへやってきたときは頭の中が完全にクラフトワークの電卓ライブになっていて、思わず身を乗り出して差し出されたパッドに指を伸ばしていました。

最後に登場した、トランス歌謡・銀河系ミュージシャンを自称するきゃらめるまんを見られたことも今回の収穫でした。派手派手なロックスターのいでたちで登場し、芸人のように愉快&セクシーなMCをノンストップで入れつつ、観客参加型の振り付けで楽しませてくれます。ギター(なぜかiPod付き)も持っているけど弾いていないときのほうが盛り上がるという。一歩間違うとまったくお客がついてこないお寒いステージになりかねないパフォーマンスでしたが、そこはもうこのキャラで百戦錬磨の様子で、お客さんの喜ばせ方は熟知しているようで、実際すごく自然に盛り上がっていました。別のイベントですが、ライブの動画を配信しているサイト(「Second session 5th week digest: part1」のところ)もありました。また、曲間もバッキングの音を止めずにトークを入れるので、DJの個性を呼び物にしたアメリカのラジオ番組を聴いているような気持ちにもなれるのが面白かったです。すいませんウソです、アメリカのラジオなんてちゃんと聴いたことないです。あくまでイメージです。

いずれにしても言えるのは、コンセプト……もっと直接的に書けば「ネタ」、としていくら面白いアイデアがあっても、前もって行われる入念な計算だったり、経験や技量による裏打ちだったりがあって初めて伝わるということかと。もちろん荒削りで未完成なものゆえの勢いとかそういう魅力もあるのでしょうが、それは長くは続きませんからね。もちろんこんなことわざわざ取り立てて書くほどではない自明のことなんですが、わりと忘れるのでたまに意識して思い出しておくと良いかと思い。

私は自分で音楽をやることはないですが、仮に音楽家だったとしたら、作家性やタレント性に優れたアーティストよりも、むしろ小器用なスタジオミュージシャンになれたらいいなと思います。元来いい加減な性格だからそういった部分にあこがれるだけなのかもしれませんが。

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